パアプウロード
第五章[願い(絆)]

その3 「願い…(昼)」


「おはよう」
近藤と松井が店の中に入ると、堀内とカブト虫を頭の上に乗せて痛がってる柳田の姿があった。
「おはようございます」
柳田が挨拶もそこそこに話し始めた。
「今、堀内さんと話してたんですけど、二人で同じ夢を見たんですよ、昨日の夜」
近藤と松井が声を合わせて言った。
「天国みたいな所で、あばあさん?」
「きゃー!同じですぅ!」
堀内が飛び上がって言った。
「これは偶然にしては変ねぇ」
店一の推理小説マニアを自負してる近藤が腕を組んで考え込む。
そして柳田の顔を見てハッとした。

「あんた、それよりカブト虫どうにかしないさいよ!」
「はい!いてててて、」
カブト虫が柳田の顔のところまで下りて来ていた。

店がオープンしてからも4人は夢での出来事が頭から離れなかった。
心ここにあらずで仕事をしていると。
「ハロー、エブリワン!」
大きな包みを抱え、蝶の形をしたサングラスをしたド派手な女が入ってきた。
一瞬みんな目を疑ったが、すぐにそれが誰か解った。
「宮寺さん!帰ってきたのね!」
宮寺はみんなに買ってきた土産を広げてニューヨークの話をし始めた。
ニューヨークでは原さんとニアミスだったことも…。
客の不快そうな顔をよそにその話は永遠続いた。
そしてネタが尽きてきた頃
「そう言えば帰りの飛行機の中で変な夢見ちゃたよ…」

堀内が店の入り口に「CLOSE」の札を出すと5人、中央に集まった。
まだ昼過ぎだが…

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