パアプウロード
第五章[願い(絆)]

その4 「願い…(夕方)」


「ふ〜ん、不思議ねぇ、みんなが同じ夢なんて…」
「これはきっと何かあるわよ!!」
時差の関係でハイ状態の宮寺が話し始める。
「7つの魂って言うのは、私たちのことじゃないかしら?」

「7人ていうこと」
近藤が聞き返す。

「そうよ、いい?」
「私でしょ、主任でしょ、松井さんでしょ、柳田さんでしょ、堀内さんでしょ…」
「あと、あっ、店長忘れてた!」

「6人ですよ、でも…」
柳田が頬の傷を気にしながら言った。

「太田さんが居るわよ」
松井が柳田の頬に絆創膏を貼りながら言った。

その時、近藤がはっとしたような顔をした。
「ちょっと待ってよ、星への願い叶うだよね?」
みんな黙って頷いて近藤を見つめる。
「この前の太田さんのライブの帰りに、私、流れ星にお願いをしたのよ」
「太田さんの身体が良くなりますようにって」

「それだ!きっと!」
いっせいにみんな立ち上がった。

「でもあと一人足りないよ、太田さんはこの場合人数に入らないんじゃない?」
宮寺のハイ状態はまだ続いているらしい。
「原ちゃんは?確か今、長野のおじいちゃんの所に来ていて、お店に遊びに行きますって、手紙があったわ」

「えっ?それっていつ来るの?」
「確か28日だと思ったわ」
「今日は?今日は?」
宮寺が回りをきょろきょろしながら聞いた。

「たしか…」
5人の視線がカレンダーに集まった。

「27日…」

全員が挫折感に浸ろうとした時に、裏口から声がした。
「あれ〜、お店閉めて顔つっ付き合って相撲でもとる気〜(笑)」

「原ちゃん!明日じゃなかったの?お店に来るの?」
松井が嬉しそうに走り寄る。

「なんか気になる夢を見たもんだから、1日早く出てきたのよ」
5人は黙って頷いた。

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