パアプウロード
第7章 「それぞれの明日」 

その2 靴の音



リンリン、リンリン…
「店長かしら?」
柳田が慌てて電話に飛びつく。
「えっ!は、はい、はい」
電話を切った柳田の顔は青ざめていた。
「太田さんのお母さんからで、太田さんが危ないらしいんです。今夜がやまだって…」
言うなり柳田が床に座り込んでしまった。
「とにかく病院に行くしかないわねぇ」
近藤のひと声で6人は太田が入院している田無の佐々病院へ向かった。

集中治療室の前の廊下に美容室パアプウの6人がいた。
あるものは座って、ただ目を閉じている。
あるものは落ち着きなく、ただうろうろしている。
そこには沈黙の世界だけが存在していた。

カツ、カツ、カツ…

沈黙の中を金属音が聞こえる。
そしてその音は廊下の先の方から段々と近づいてくる。
6人は顔を見合わせ、音が鳴る方に顔を向けたが、廊下はもやがかかったようになって、よく見えなかった。

カツ、カツ、カツ…

だんだん近づいてくる。
その音は靴の音…、ハイヒールの音に似ていた。
それでも窓から入ってくる月灯りの中、誰か人が歩いてくることがぼんやりとわかるだけだった。

カツ、カツ、カツ…

そして、ついにその姿を現した。
その黒いサングラスをした女性は紛れもなく…
「店長!」
駆け寄る。
抱き合う
涙を流す
「どこに行ってたんですか!」
秋元はその質問をさえぎるように大きく手を広げて病室の方を指さした。
「さあ!みんな!急いで病室の中に入れてもらいましょう。願いを叶えるのよ」

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