パアプウロード
第7章 「それぞれの明日」 

その5 華麗なステップ



「ふぅ〜、重い、重い」
一番最後に入ってきたのは双子の子供を両手につないだ柳田だった。
彼女のお腹は誰が見ても単なる肥満でないことはわかった。
もうすぐ次なる命の誕生である。
「わぁ!柳田さん、大丈夫?予定いつ?」
誰彼ともなく質問が飛んだ。
「いや〜予定日はもう過ぎてるんだけどね、3人入ってるからなかなか…」
「え〜”三つ子!?」
まぁとにかくおめでたいということでパーティは始まった。

僕らは自分が生まれた瞬間の母親の笑顔を覚えていないだろう。
父親はあわてて職場から駆け付ける。
今は皺だらけになったその腕は
その小さな子を抱くには余りに勇ましすぎる。
父親はその子が生まれる前から
その日だけのために生きてきたように、
自分の身体の中に流れる、
本能と運命を無意識の中に悟だろう。

「レィディ アンド レィディ」
司会進行役の不気味ショップ「ガイコツ」店長、紅エミがマイクを持った。
「ただ今より、美容室パアプウ同窓会並びに我らがヒーロー太田さんのボディビルディング世界3位を祝いましてのパーティを開催したいと思います」
ジャーン!ジャジャジャーン!
今日のパーティのために再結成したコールドストームが笑顔で演奏する。

ウ!ウオー!…パシュ〜!
「おー!すごい、すごい」
乾杯の音頭は秋元の役目だが、その乾杯のシャンパンを太田が歯で開けて、店内は一段と盛り上がる。
「ロックンロール!カモン!」
秋元のシャウトでパーティは始まった。

昔、横須賀で鳴らした秋元がビートに合わせ華麗なステップを踏む。そしてそれに刺激されたのか、妊婦の柳田さえも含め全員で踊りだした。

松井「お姉さん、その踊り古くないですか?」
秋元「なに言ってんのよ!ツイストよ、ツイスト!」
近藤「店長!今はヒップホップですよ、ストリートですよ」
宮寺「みんな古いなぁ〜…、1999年世紀末のニューヨーク最新ステップを教えたろか!」
堀内「きゃー!教えて!」ぴょん!
宮寺「まず両手を真っ直ぐ前に伸ばし、誰でもいいから背中からその人の両肩をつかむの…いい?」
全員「はーい、つかみました!」
堀内「イタ〜イ!太田さん!もっと優しくしてください!」
太田「ウオー、ウオ!」
宮寺「もう…、そしたらね、足を揃えてリズムに乗せて、まえ、うしろ、まえ、まえ、まえ、よ!いい?」
原「もしかしてこれって?…」
堀内「ジェンカですわ!きゃー!」
太田「ウオゥオウォウオ!ウオ!」
柳田「ジェンカ?歴史は繰り返すものなのかしら?初めてキスをした〜ッ、う…」
全員「どうしたの?大丈夫?柳田さん!」
柳田「ウ…、産まれそう…」


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